社員インタビュー

知床家畜診療所 獣医師 T.N知床家畜診療所 獣医師 T.N
知床家畜診療所 獣医師 T.N

養豚管理獣医師として、人と家畜の関りを見つめて

入社したきっかけ

高校生の頃、「家畜や伴侶動物は人間の幸せのために作り出された存在だ」と気づき違和感を感じる一方で、「食文化として肉を食べることはこの先無くならないだろうし、無くなってほしくない。お肉を食べ続けたい。」という思いもありました。それならば、獣医師として畜産に携わり、自分の中の矛盾に向き合い答えを見つけたいと思いました。また、畜産に関わる上で、一部の人が高いお金を払ったり遠くから取り寄せたりして食べるお肉ではなく、日本に暮らす多くの人が、普通にスーパーで手に取れる肉がどのように作られているのかを知り、そこに携わりたいと思い入社しました。

仕事内容

会社の使命は、安全で高品質なお肉、つまり健康な豚を安定的に供給することです。その使命を達成するために管理獣医師に求められる役割は、農場への疾病の侵入を防ぐ、あるいは侵入しても被害が最小限となるよう、獣医学的な視点で農場に提案や指導を行うことです。

私が担当しているのは網走にある3農場で、合わせて4万8000頭ほどの豚を飼育しています。定期的に農場を巡回し、防疫体制・飼養環境・豚の健康状態・ワクチンや薬剤の使用方法に問題が無いか確認します。必要に応じて、病理解剖やサンプルの採材を行います。農場に行くと、仕事の手を止め話をしてくれる方が多いので、豚の状態で変わったことが無いか、小さなことでも聞きとります。巡回時の所見、各種検査の結果等を踏まえ、良くなった点や改善が必要な点を農場の担当者・責任者に伝え、改善案を一緒に考えます。これを繰り返し、各農場から1頭でも多く高品質の豚を低コストで出荷できる状態を目指します。

仕事のやりがい

数万頭という大きな規模で、豚の健康維持に関わる点、予防に重点を置いた取り組みを行える点において、管理獣医師という仕事に可能性とやりがいを感じています。管理獣医師は病気になる前の段階から豚に関わることができます。これは臨床専門の獣医師では比較的難しいことです。ヒトの医療においても、予防に重きが置かれるようになってきています。そうすることで、医療費を抑えられ、身体への負担も最小限になるからです。それは豚でも同じだと思っています。
生理学、薬理学、感染症学などはもちろんですが、衛生学、免疫学、病理学、繁殖学などの多様な知識を組み合わせて現場に活かせる点も魅力に感じます。また、これらの知識を必要な場面で適切な形に変換して、相手に伝わるように発信する力も大切だと感じています。簡単ではありませんが、相手に伝わったと思えた時には喜びがあります。

入社してから気づいた、職場の魅力3つ

1.現在、知床事業所の管理獣医師は私1人ですが、分からないことがあれば他の事業所の獣医師にいつでも相談できます。月1回の会議で先輩の獣医師と情報共有したり、迷っていることについては意見をもらったりしています。また、電話やメールで相談すると皆さん丁寧に教えてくださり、心強いです。獣医師以外の事業所の方ともいつでも相談できる環境だと感じています。

2.養豚獣医師の協会に加入できるため、社外の養豚獣医師とのネットワークを持つことができます。定例会に参加し新しい知見を得たり、症例等について発表する機会があります。

3.ニッポンハムグループとして生産・と畜から販売まで手掛けているので、豚を出荷して終わりではなく、お肉になった後の品質に関する情報も得られる点が面白いと感じています。情報を受け、速やかに生産にフィードバックする体制となっています。